2024/4/19越谷 がやてっく 雑談 ローカルメディア ローカルサイト越谷CITYメール
司法司書法人和光事務所

<絶対に甘党宣言!>笑って咲く花【がやてっくグルメ】


<絶対に甘党宣言!>笑って咲く花【がやてっくグルメ】

<ガラガラガラ>

<ピンポーン>

<ガシャ>

こんな風に蒸し暑い日が一番きつい。

一志は汗を拭い空を見上げた。

どんよりした曇り空。

ふと、昨日帰りによったレンタルビデオショップが脳裏をよぎった。

<ガラガラガラ>

<ピンポーン>

<ガシャ>

今日の配達物は残り1件で終わりだ。

終わりが見えると同時に1日が早く感じる。

そして、最後の家の呼び鈴は時に愛おしく見える。

強すぎず優しすぎず丁寧に押す。

「はい、すぐに行きます。」

ドアが空いた瞬間、一志は驚いた。

もちろん表情には出していない。

いや、いない、と思う。

そこには3年目に分かれた樹里がだったからだ。

そう、さっき頭によぎったレンタルショップにいつも一緒に行っていた樹里だ。

「こちらがお届け物です。」

「ありがとうございます。」

樹里は受け取ると同時に扉を閉めた。

扉が最後に閉る瞬間、樹里と目が合った。

表情からして一志に気付いたようだった。

いや、気付いたと思いたいだけなのかもしれない。

扉が閉まったあと、信じられないほどの静かさが足元から頭の先まで駆け抜けていった。

一志は一瞬躊躇して車に戻った。

なぜなら、部屋の奥に3~4歳ほどの子供がいたからだ。

一志はやるせない気持ちが込み上げてきたが、どこにもこぼれることはなかった。

一志と樹里が別れたのは3年前。

仮に樹里に3~4歳ほどの子供がいたとしたら、、、

一志は一度大きく深呼吸をし満点の夜空を眺めた。

湿った空気が重力で一志を押し付けようとしていることが感じられた。

「よし、切り替えよう。」

<ガラガラガラ>

<ピンポーン>

<ガシャ>

いつまでこんな人生を歩むんだろうか。

そんなことを考えること自体、最近めっきり減った気がした。

気のせいかもしれない。

そう、気のせいかもしれない。

なんとなく夜空を見上げた瞬間、そこは夜空ではなくどこかの喫茶店の天井となっていた。

「ここは、、、甘党宣言か?」

一志の気持ちを察したように定員は厨房の奥へ行きデザートをテーブルの上に置いた。

一寸の迷いもなく。

一志は一心不乱に食した。

一志の中に湧き出てきた「何か」が自分をやけに慰めてきた。

そうだな、なぜ俺はいつも自分自身を責めていたのだろう。

そこらへんにあるような仕事。

そこらへんにあるような恋愛。

別にいいじゃないか。

<ガラガラガラ>

<ピンポーン>

<ガシャ>

「別にいいじゃないか。」

と樹里がつぶやいた。

「別にいいじゃないか。」

僕は何でもないふりをしてつぶやき返した。

結局のところ、「何をしているか」ではなく「自分に負けないこと」が重要なんだろう。

<ガラガラガラ>

<ピンポーン>

<ガシャ>

一志は変わらぬ日常のすばらしさを感じ始めた。

<ガラガラガラ>

<ピンポーン>

<ガシャ>

「笑って咲く花になろう。」

ミスターチルドレンの歌が街中で流れていた。

自分の中の「何か」が呼応した。

新しい「君」と共に。

~END~

※絶対に甘党宣言!の物語はフィクションですが、登場しているデザートは越谷市内の店舗で実際に提供されているデザートです。

※今回は「ベーカリーレストランサンマルク 越谷蒲生店」さんのデザートでした。