<�絶対に甘党宣言!>E=mc²【がやてっくグルメ】
- 2022/03/06 07:18
- あー さん
- がやグルメ

<チュンチュンチュン>
<カキカキカキ>
<プツリ、、、>
もう11月、寒さが増してきた。
しかし、梓にとって気温は重要ではなかった。
そんなことより、模試のテストの点数が一番重要だ。
東大の医学部を目指していたが、高校3年の今になって現実の壁にぶつかっていた。
「上手くいくわけないよね。」
勉強をしていても、1時間ごとに集中力が切れる。
先日の模試の結果で合格C判定。
テストの手ごたえは悪くなかったが、余裕を感じた訳でもない。
<チュンチュンチュン>
<カキカキカキ>
<プツリ、、、>
・
・
・
週末の昼の11時30分。
蒲生のコワーキングスペース。
8時から缶詰で勉強すると自分に誓ったが、また集中力が途切れた。
「ダメだ、外に出よう。」
梓はそのまま散歩に出かけた。
高架下を南越谷駅へ向かって歩いた。
上を見上げると青空が昨日より突き抜けていた。
そもそも梓は勉強自体が好きなわけではない。
中学生の頃、アインシュタインの伝記を読み、アインシュタインの人間性に惚れた。
同時に、物理学と自分の思考がシンクロしているように感じた。
「もっと学びたい」
その思いだけで勉学に励んだ。
<チュンチュンチュン>
<カキカキカキ>
<プツリ、、、>
「元気な子に育てば。」
母親は昔そう言ってた。
しかし、中学2年生の期末テストで学年1位の成績を取ったころから両親の雰囲気が変わっていった。
「医師になれば将来安泰ね。」
そんなことをつぶやくようになっていた。
梓はアインシュタインの情熱や考え方が好きなだけだった。
なので、逆に決められたレールの上を進むことに抵抗はなかった。
しかし、今になって「何か」が自分の中にあることに気付き始めた。
そんなことを考えて散歩をしていると、原付バイクが私の方に向かってきた。
梓はとっさに避けようとしたが、避けた方にバイクが突っ込んできた。
頭の中が真っ白になった。
いや、真っ白になったような気がした。
大漁の水槽に入れられたうなぎのようにうねった。
そこから目を覚ますと、とある喫茶店のような何かのギャラリーのような場所にいた。
白髪混じり店員は梓の存在を認めていなかったが、テーブルの上にパフェを置いていった。



「そうか、、、甘党宣言とはE=mc²では解けないのね。」
梓は目の前のパフェを頬張った。
その甘さは熱くなり過ぎていた心臓をクールにしてくれた。
クールになると「何か」が顔を出した。
「E=mc²」
特殊相対性理論を知った時の衝動が蘇った。
<チュンチュンチュン>
<カキカキカキ>
<プツリ、、、>
・
・
・
梓は蒲生駅のコワーキングスペースに戻ると深呼吸した。
体中に酸素がいきわたった。
当たり前のことだが、朝スズメがよく鳴いているわけではなく、周りが静かだからスズメの声が良く聞こえているのだ。
<チュンチュンチュン>
<カキカキカキ>
<プツリ、、、>
梓は自分のレールの上を走りだした。
新しい「君」と共に。
~END~
※絶対に甘党宣言!の物語はフィクションですが、登場しているデザートは越谷市内の店舗で実際に提供されているデザートです。
※今回は「珈琲豆販売所 晴れ晴れ珈琲 越谷店」さんのデザートでした。